ホロスコープの作成は、実は天文学の計算がベースになっています。「生まれた瞬間に、空のどこに何があったか」を正確に再現するために、惑星の軌道運動や地球の自転を数式で追いかけるのです。
数学的な詳細は省きますが、「ホロスコープの数字がどこから来ているのか」を知っておくと、チャートに対する信頼感が変わります。
すべての惑星は太陽のまわりを楕円軌道で公転しています。17世紀にヨハネス・ケプラーが発見した三つの法則が、その軌道計算の基礎です。
1. 惑星は太陽を一つの焦点とする楕円軌道を描く
2. 太陽と惑星を結ぶ線分は、等しい時間に等しい面積を描く
3. 公転周期の二乗は軌道長半径の三乗に比例する
ホロスコープ作成では、ある特定の日時における惑星の「黄経」(黄道上の位置を角度で表したもの)を求めます。太陽の黄経が0度のとき牡羊座の始まりで、30度ごとに牡牛座、双子座と続きます。
天文計算では日付を「ユリウス日(JD)」という連続した日数に変換します。紀元前4713年1月1日の正午を起点とする数値で、カレンダーの改暦による混乱を避けるための仕組みです。
地球も太陽のまわりを公転しているため、地球から見た天体の位置(地心座標)は太陽中心の位置(日心座標)と異なります。ホロスコープでは「地球から見た位置」を使うため、座標変換が必要です。
アセンダント(ASC)は、出生時に東の地平線と黄道が交わる点です。この計算には、出生時刻、出生地の緯度・経度、そしてグリニッジ恒星時(GST)が必要になります。
地球は約24時間で一回転するため、アセンダントの星座はおよそ2時間ごとに変わります。出生時刻のわずかな違いがアセンダントを変える理由はここにあります。
MC(Medium Coeli=天頂)は、黄道が子午線と交わる最も高い点です。キャリアや社会的な到達点を示すとされ、アセンダントとともにチャートの骨格を形づくります。
ハウスの分割方法は一通りではありません。歴史の中でさまざまな方式が提案されてきました。どれが「正しい」というものではなく、それぞれに背景と理論があります。
17世紀のイタリアの数学者プラシーダスが体系化した方式です。現在、西洋占星術で最も広く使われています。各ハウスのサイズが不均等になるのが特徴で、高緯度地域では極端にサイズが偏ることがあります。
アセンダントを起点に黄道を30度ずつ均等に12分割する方式です。最も古典的で計算もシンプル。高緯度での偏りがなく、初学者にもわかりやすいという利点があります。ウラシルのチャート作成ツールではこの方式を採用しています。
ドイツで発展した方式で、出生地の時間をベースにハウスを分割します。プラシーダスに似た結果になることが多いですが、計算原理が異なります。
古代ギリシャ・ヘレニスティック占星術で使われた最古のハウスシステムです。アセンダントの星座をそのまま1ハウスとし、次の星座を2ハウスとする方式。近年、古典占星術のリバイバルに伴い再評価されています。
黄道12星座の定義には、大きく分けて2つの体系があります。
春分点を牡羊座0度の基準とする体系です。西洋占星術のほぼすべてがこの方式を採用しています。季節のサイクルと結びついているため、「牡羊座は春の始まり」という直感と一致します。
実際の星座の位置を基準にする体系です。インド占星術(ジョーティシュ)で使われています。地球の歳差運動(約25,800年周期)により、トロピカルとサイデリアルの間には現在約24度のずれがあります。
「実際の星座とずれている」という指摘は、トロピカル方式とサイデリアル方式の違いを指しています。西洋占星術は意図的にトロピカル方式を採用しており、星座の配置ではなく春分点からの角度で読み解くものです。異なる体系であって、どちらかが間違っているわけではありません。